テニスで手首が痛くなった経験はありませんか?
私はあります。
しかも、私の場合は数ヶ月引きずりました。
2度と同じようなことにならないよう、
理学療法士の人に手首の痛みの原因と正しい対処法について記事を書いてもらいました!
実は同じ手首の痛みでも原因は様々です。
それぞれの痛みに対して適切な対処が必要になります。
今回の記事では、テニスにおける手首の怪我の種類や対策、治療法などについて触れていきます。
すでに手首が痛む人、これから手首を痛めたくない人の参考になればうれしいです。
本記事でわかること!
- 手首の痛みの種類
- 手首の怪我の症状
- 痛みの原因
- 症状のチェック方法
- 怪我の治療法
- 手首を痛めないための対策
手首の怪我の種類
テニスにおける手首の代表的な怪我は、ドケルバン病、TFCC損傷、CM関節症などが挙げられます。
この他にも一般的な手首の腱鞘炎が挙げられます。
それぞれの症状や原因、治療法について触れていきます。
ドケルバン病
症状
親指を広げた時に手首の親指側に強い痛みが生じます。
手首の腱鞘炎の一つで、親指を伸ばす腱や腱を取り巻くトンネルのような構造になっている腱鞘に、炎症が生じることで痛みにつながります。
チェック方法
ドケルバン病と判断できるかどうかは、下記のテストで判断することができます。
①親指を握り込みます。
②親指を握り込んだまま、手首を小指側へ傾けます。
③手首の親指側に痛みが生じたら陽性です。
原因
親指を伸ばす筋肉に強いストレスがかかっていたり、練習のしすぎでオーバーユースになっていたりする人に見られる症状です。
最近では、新型コロナウイルスの影響でスマホの使用時間が伸びたことで、スポーツをしていない人でも症状が見られるようになってきています。
親指の使いすぎによって、腱そのものや、腱を取り巻く腱鞘に摩擦が増えます。
すると、組織が傷つき、炎症が生じて、そのまま使用しているとさらに炎症が悪化するという悪循環に陥ります。
治療法
痛みの出始めは、アイシングや安静が必要になります。痛みが強い場合は、シーネ(当て木)で固定をしたり、痛い部分に炎症を止める注射をしたりします。
慢性痛になってしまうこともあります。
痛みが取れない場合や再発を繰り返す場合は、腱鞘にメスを入れて、切り開く手術が必要になる方もいるので、早期に治療を開始することが大切です。
TFCC(三角繊維軟骨複合体)損傷
症状
TFCC損傷は手関節の小指側を押すと痛かったり、手首を小指側に傾けると痛みが生じたりすることが特徴です。
症状にも程度があり、重たいものを持たなければ痛くない方もいれば、パソコン作業だけでも痛みが生じてしまう方まで様々です。
原因
TFCC損傷は、手関節小指側の三角繊維軟骨複合体(さんかくせんいなんこつふくごうたい)が損傷することが原因です。
損傷の仕方は様々で、転倒などで手をついてしまい強い衝撃が加わることで損傷するパターンもあります。
また、強い衝撃がなくても度重なるストレスが原因で、損傷することもあります。
特にテニスの場合だと、フォアハンドでは手首の小指側に圧縮されるストレス、バックハンドだと牽引されるストレスがかかります。
捻れるストレスもかかるため、これらのストレスで痛みが生じる場合もあります。
生まれつき前腕(肘から先、手首まで)の親指側の骨(橈骨)よりも、小指側の骨(尺骨)が長いことが原因の方もいます。
治療法
最初に痛みが出始めた時には、患部の安静を保ちます。
患部が熱を持つようであれば、アイシングを行います。
それでも痛みが取れない場合は、炎症止めの注射を患部に打ったりします。手術が適応と判断される場合は、関節鏡を使って、損傷部位の切除や縫合をします。
原因で前腕の骨の長さについて触れましたが、極端に尺骨(小指側の骨)が長い場合は、骨を短縮させる手術をされる先生もます。
CM関節症
症状
親指の付け根の関節のことを、CM関節と言います。親指と小指をくっつける時によく動く関節で、動きが大きいことが特徴です。
CM関節症は、親指の付け根のよく動く部分に痛みが生じます。症状が進行すると、親指の付け根が腫れてきて、しっかりと手のひらを広げることが難しくなります。
原因
親指の使いすぎや、老化現象が主な原因です。
具体的には親指の付け根の関節の軟骨がすり減り変形することが原因と言われています。
治療法
親指の動きを制限するサポーターを使用したり、包帯を親指に巻いて、あまり親指を使用しないようにします。
関節内に炎症止めの注射をしたり、内服の痛み止めが処方されることもあります。関節の変形が強くなると手術が必要になる場合もあります。
手首を痛めないための対策
ここまで、テニスで手首に生じる代表的な怪我の種類や症状、原因などについて触れてきました。
では、なぜ手首を痛めてしまうのでしょうか?
手首を痛める原因とその対策、予防トレーニングをまとめました。
手首を痛める原因
グリップを見直す
テニスのグリップをしっかりと握れていますか?
練習を重ねて疲労してくると、握力が低下します。
握力が低下すると、グリップの握り方がおかしくなってくる方がいます。
本来であれば中指〜小指までの3本でしっかりとグリップを握ります。しかし、疲れてくると、親指の付け根を押し付けてグリップを握るようになります。このようなグリップになると、手首への負担がかかり、痛める原因になります。
なので、小指〜中指までしっかりとグリップ出来るように意識することが大切です。
また、握力をつけるトレーニングも必須ですね。
【参考文献】
TFCC損傷に対する理学療法
スイートスポットに当てる
ラケットの振動はスイートスポットから外れると、インパクトの衝撃が強くなります。
また、スイートスポットを外れると、ガットのテンションが高いほど手首にかかる衝撃も強くなります。
そのため、普段の練習では、なるべくラケットのスイートスポットに当てるように意識することが大切です。
【参考文献】
テニスのインパクトにおけるラケット・ハンドルと手首関節の振動
相手の打球に対し素早い判断を行う
相手のボールに対して振り遅れることも手首を痛めるリスクになります。
振り遅れると、手首の筋肉に力が入りづらい状態でインパクトを迎えることになり、筋肉を痛めてしまいます。
深いボールや速いボールなどでは、相手のボールの軌道を読み、素早く落下地点まで移動をするように心がけることが重要です。
予防トレーニング
手首を痛めないために軽めのダンベルやトレーニング用のチューブを使用して、手首を鍛える方法の紹介です。
ポイントは手首の固定性をよくすること!
あらゆる方向への筋力トレーニングが必要になります。
また、トレーニングをする際は下記に注意して行ってください。
①鍛えるのはあくまで手首なので、手首が固定できる環境で行う。
※写真では、手首の固定用に丸めたタオルを使用し、そこにしっかりと手首を置いて固定しています。肩などが代わりに動かないように注意してください。
②正しい運動方向になるように重りの重さを調整する。
重さが重すぎると、正しい運動方向で運動ができなくなる可能性があります。
※写真では、軽めのゴムチューブを使用しています。
③痛みが出る場合は無理をしない。
※痛みが出る場合は、既に腱鞘炎などが起きている可能性があるので、無理をすると悪化の原因となります。
手関節橈屈の筋トレ
①軽めのダンベルや、トレーニング用のゴムチューブなどを写真のように持ちます。
②親指が上になるように、手首を動かします。
橈屈は、そもそもそれほど可動域はありません。
なので、手首が下がった状態から通常の形まで持ち上げるイメージの方がうまくいきます。
ドケルバン病の方は痛みが出るかもしれませんので、痛みが出る場合は、他のトレーニングを行ってください。
手関節背屈の筋トレ
①写真のように手のひらが下になるようにし、ゴムチューブやダンベルなどを握ります。
②そのまま手の甲が上になるように動かします。
バックハンドで痛みが出るような方やテニス肘の方は、この運動でも痛みが出るかもしれませんので、痛みが出た場合は他の運動を行ってください。
手関節掌屈の筋トレ
①手のひらが上になるようにし、ダンベルなどを握ります。
②そのまま写真のように手首を動かしていきます。
フォアハンドで痛みが出る方や、ゴルフ肘と言われた方はこの動きでも痛みが出る可能性があります。
この動きで痛みが出る場合は他の運動を行ってください。
まとめ
今回の記事では、テニスにおける手首の代表的な怪我の種類や症状、対処法について触れてきました。
それぞれの怪我に共通することは、症状が出たら早めに治療を開始することや、しっかりと手首の安定性を得られるように、握力や手首周りの筋肉のトレーニングをすることです。
また、理想の打点でボールを捉えれるようにフットワークも大事になってきます。
全身の健康状態を整えて、怪我をしないように楽しくテニスをプレイしていきましょう。

私生活にも影響が出る症状もあるため、しっかり対策していきたいですね!
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